二月十四日!


今日はバレンタインです!


天馬くんにはハートの上にパールを散りばめてローマ字で『Tenma』と書いたチョコを用意した。


喜んでくれるといいけど……。


そんなこんなでうきうきしながら下駄箱を開ける。


――ドサドササァ……


?……?


何やら茶色っぽいものがたくさん落ちてきた。


「うわぁ…モテる女も大変ね」


気づけば隣にゲッと言う顔で立っている沙羅ちゃん。


なんだろう、と思い落ちてきたものを確認しようとすると目の前にちょうど人が立ちはだかる。


見上げるとそこには天馬くんの姿。


不機嫌そうに私を見下ろしている。


「あの……天馬くん。拾いたいんだけど……」


そう言うと半ば強引に肩を掴まれた。


「……行くぞ」


?ちょ、ちょっとまって!


「ちょ、ちょっとまって、天馬くん……!」


そう声を掛けるも無言で私を連れて進んでいく。


「モテる女を持つのも大変ね……」


沙羅ちゃんが後ろで何かをボソボソと呟いていた。


(この後天馬くんの後ろにいた専属の人が拾って捨てたらしいです……byきらら)


「あの、ちょっとまって、天馬くん……!」


ずんずんと進んでいく天馬くん。


「なぁ、唯」


「はい!」


なんだか不機嫌そうだったので元気に返事をしてみた。


「俺の事好き?」


「うん!」


「愛してる?」


「うん!」


「……じゃあ、俺の事どう想ってる?」


どう思ってる……?


もちろん!


「大切に思ってるよ…!」


そう言うと大きく息を吐いた天馬くん。


強引に手を掴んだかと思えば近くの図書室に入った。


図書室の1番高級そうなソファに腰かけると手を引かれ座らされた。


「…言わないと分かんない?」


分からない……。



太ももにくすぐったい感触……。


天馬くんの手がどんどん上に上がってくる。


「っ……ひゃ…あっ…」


「その顔……誘ってんのと同じだから」


誘ってる……?私、なんも勧誘なんてしてない…ー!


そう思っていると天馬くんの顔がグイっと近づいた。


あ…今絶対顔赤い……。


「…真っ赤」


仕方ないじゃん、天馬くんが近いんだもん……。


「…チョコ、口移ししろよ」


口移し……くちうつし……何それ!?ペンギンの親子じゃないよね!?


「……無理…です…」


「へぇ?無理、ね。じゃあ、押し倒しても文句ないよな?」


押し倒す…!?天馬くん相当お怒り!!


大変だ……!こういう時は必殺法…えーと…えーと…。


き、きききききすっ……!


―――ちゅっ


甘い甘いリップ音とともに顔が熱くなる。


「……足りない」


足りない…!?


どうしたら……。


――「あのぉ、ここカップルの甘い部屋とかじゃないんですけどー」


こ、この声は……救世主、沙羅ちゃん…!


ナイスグッドスーパータイミング…!(作者・ネーミングセンスどうにかならないかな??)


「ちっ……放課後、分かるよな?」


舌打ちすると悪魔の笑みでそう聞いてくる天馬くん……も、もちろんわからないのですが…。


と、とりあえず……!


必死に頷いたのだった。


しかし事件は起きた…――。