レベチもて男子は、メガネ委員長をひそかに溺愛中★

〇1話の続き・朝・教室
ミナトがあんずに向かって颯爽と歩いてくる。
あんず、ぎゅっと両手を握りしめて目を閉じる。その瞬間。
ミナト「よう、清岡! 国語の教科書かしてくれない?」
あんず(え?)
目を開けると、ミナトがあんずの2つ後ろの席に座っている清岡をつついている。
清岡は、机につっぷして寝ている。
清岡:バレー部の1年生で唯一のレギュラー、硬派なスポーツ男子。短髪でキリリとした顔立ち。寡黙ですこし近づきがたい雰囲気。
女子「なんだ~、清岡くんに会いに来たんだ~」
女子「あのふたり、中学時代の塾友だって」
清岡(机から顔上げて、眠そうな顔)「あ? 国語の教科書?」
清岡(机の中から教科書を出しながら)「中休みには返せよ」
ミナト「サンキュ!」
ミナトがあんずをまったく見ずに、横を通り過ぎようとする。
あんずほっとする。
あんず(やっぱり、昨日のは冗談だったんだ)
そのとき、なぜかミナトが立ち止まって、あんずの横でかがみこむ。
あんず(え?)
ミナト「これ、落ちてたよ」
そして、あんずの目をじっと見ながら、消しゴムをあんずの手にギュッと握らせる。
ドキリとするあんず。
あんず「ありがとう」
ニッコリ笑って、そのまま立ち去るミナト。その後ろを、女子たちが「ミナトくーん!」と言いながら追っかけていく。
あんずが手を開くと消しゴムがある。
あんず(これ、わたしのじゃない……)
消しゴムに何か紙が差し込んであるのに気付く。
おそるおそる開くと……。
「今日、一緒に帰りたい。連絡待ってる。
Xxxxxxxxx(連絡先) ミナト」
あんず(ひ、ひええええええええええええ)

〇放課後・廊下
あんずがクラスメートの森(男子)とダンボールを運んでいる。
※森:まじめでおだやかな雰囲気の男子
森「ごめん、高梨さん、手伝ってもらって」
あんず「ううん、いいよ。日直、ひとり休んでるから大変でしょ」
森「あ、うん。さすが高梨さんだね。そんなことまで気がつくなんて」
あんず「……あはは」
あんず(うちのお母さん、昔、よく入院していたから、つい気を回すクセがついちゃったんだよね) ※ベッドのお母さん、はしゃぐ弟2人、エプロンしてお玉を持って怒っているあんずの絵。
あんず(まぁ、今日は用事ができて助かったけど……)
あんずの頭にミナトからもらったメモのことが思いうかぶ。
あんず(一緒に帰るとかムリムリ! っていうか、あれもワナかもしれないし……)

ふいに後ろからを「森くん」と呼ぶ声。振り向くと、ミナトがいる。
ギョッとするあんず。森も横で驚いている。
ミナト「森くん……だよな?」
森「うん」
ミナト「体育の木村先生が呼んでたよ。体育倉庫に来てほしいって」
森「え? ぼく?? なんだろうなぁ……」
手に持ったダンボールを見て、困ったようすの森。
ミナトが、さっと森からダンボールを取り上げる。
ミナト「これはオレが運んどくよ」
森「そ、そう。ありがとう」(あんずの方を見て)「ぼくが日直なのにごめん!」
あんず「ううん! 気にしないで!」
すこし名残惜しそうな顔をしながら、小走りに去っていく森。
それを見送ったあんずがポツリとつぶやく。
あんず「木村先生が森くんに頼みごと? へんな組み合わせ」
ミナト「あ、それウソだから」
あんず「え?」
アゼンとした顔のあんず。
ミナト「『誰でもいいから、手伝ってくれー!』とは叫んでたけどね」
あんず「な、なんで???」
ミナト「それはこっちのセリフ。なんで連絡くれないの? メモに気付かなかった?」
うっとなるあんず。

いつの間にか「社会科資料室」の前に来ている。
あんず「あ、ここだ!」
あんずは逃げるように、資料室の開いていたドアに飛びこむと、持っていた段ボールを机の上に置く。
しかし、その直後、後ろでバタンと扉がしまる音。
振り向くと、閉じた扉の前に立つミナト。
あんず(え……)
扉を締められて、呆然とするあんず。
ミナトが近づいてきて、持っていた段ボールを置く。
壁際に追い詰められる。ぎゅっと身体を縮めるあんず。
顔を近づけられてドキドキ。ミナトが耳元でささやく。
ミナト「スマホ」
あんず「え?」
ミナト「スマホ出して」
ミナトの圧力に、思わずポケットからスマホを出してしまうあんず。
ミナト「画面開いて」
あんず画面を開く。ミナトがサッと携帯電話を取り上げて、操作。
ミナト(携帯電話の画面を見せながら)「はい、登録完了。これで、連絡取れるな」
あんず(ぎゃーーーー?)
ミナト「じゃあ、一緒に帰ろうか?」
あんず、一瞬、固まったあと、思いっきり首を横にふる。
あんず「それは無理!!!!」
ミナト「どうして?」
あんず「だ、だって、他の生徒に見られたらなんて言われるか……」
あんず(ただでさえ、変な目立ち方しているのに、これ以上、敵を作りたくないんだけどっ!)
ミナト「いいじゃん。付き合っているって言えば」
あんず(えええええええええええ!)
あんず(こ、これは、もしかして本気……? からかってるんじゃないの!?)
あんず(だったら、あの手紙は偽物だって言わなきゃ!)
あんず「あ、あのさ、昨日の手紙のことだけど……」
ミナト「うん?」
顔を近づけられて、一瞬、うっとなるあんず。
あんず「あの……もう少し離れてくれない?」
ミナト「なんで? オレ、あんずの声をもっとよく聞きたいんだけど……」
あんず(いや、十分、聞こえるでしょ!!!!) 
そこに、扉がバタンと開けられる。
教師「おい、何やってるんだ!」
ホッとするあんず。残念そうな顔のミナト。
教師「篠崎と……高梨?」
教師も意外な組み合わせに驚いたようす。
そのすきに、ミナトがあんずの肩を抱いて、資料室を出て行く。
ミナト「資料、運んできただけなんで」
教師「お、おう」
そのまま資料室を立ち去る。
しばらく行ったところで、ミナトの腕から逃れるあんず。
あんず「だから、こういうのは困る……」
「さっき言いかけたことなんだけど、あの手紙は……」
すると、ミナトがかべにあんずを押し付けて、顔を寄せてくる。
ミナト「昨日も言ったけど、オレ、あんずの気持ちすごくうれしかった。いまさら、ナシとか言わないよな?」
ミナトの迫力にたじろぐあんず。
あんず「そ、それは……」
次の瞬間、今度は、切なそうな表情であんずを軽く抱きしめる。
ミナト「オレ、あんずのこと、大事にするから」
顔を真っ赤にしながら混乱するあんず。
ミナトが身体を離す。
ミナト「じゃあ、また連絡するね。気を付けて帰りなよ」
そのまま立ち去るミナト。ボーゼンとするあんず。