照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 いつも明るく賑やかな遠山家が抱える大きな悲しみ。それが伝わってきて胸が痛んだ。

『だめだね。お父さんから〝お母さんと涼成を頼む〟って言われたのに』

 真帆ちゃんはそう言いながら川を眺める。

『家族の前だと頑張れるんだけど、ひとりでいるとたまに泣きたくなっちゃうんだよね』

 彼女の目が赤いのは、夕日のせいだけじゃなかった。光を反射する潤んだ瞳が綺麗で、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。

 俺はかける言葉を見つけられないまま、真帆ちゃんの隣に腰を下ろす。

 せめて、彼女が人目を気にせず泣けるようにそばにいたい。少しでも彼女のさみしさをやわらげてあげたい。

 そう思い、夕日が西の空に沈むまで、ただ黙って真帆ちゃんの隣に座り続けた。

 真帆ちゃんへの恋愛感情を自覚し、いつか彼女を守れるような、強く頼もしい男になりたいと思ったのが、警察官を志した一番の理由だった。

 そして、その想いが今日まで俺を支えてきた。