照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 静かな寝息が聞こえ、真帆ちゃんの細い肩が小さく上下するのがわかった。窓から吹き込む乾いた風が、優しく頬をなでた。

 俺は真帆ちゃんを見つめながら、二十年近く前の夏の日の午後のことを思い出す。





 俺は小学四年生。真帆ちゃんは高校一年生だった。

 あの頃の俺にとって、真帆ちゃんはまぶしい存在だった。面倒見がよくて、明るくて、いつも笑顔で接してくれる、綺麗なお姉さん。

 涼成に誘われ家に遊びにいくたび、ドキドキしながら真帆ちゃんの姿を探した。

 顔を見るだけで心臓が飛び跳ねるほどうれしいのに、話しかけられると緊張して言葉が出なくなる。

 そんな不器用な想いをこじらせていたある日。

 俺が川沿いの土手を歩いていると、ぼんやりと川を眺める制服姿の真帆ちゃんを見つけた。

 彼女はひとりだった。

 夏の風が長い髪を揺らす。夕日に照らされたその横顔は、なんだかさみしそうに見えた。

 いつもの彼女とは、なにかがちがう。