照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 変わったのは、夕方の立番の時間に仕事帰りの真帆ちゃんに挨拶をするようになったことくらい。

 真帆ちゃんは俺を見つけると「お疲れ様」と声をかけてくれる。

「真帆ちゃんも、お疲れ様です」

 俺は胸のときめきを隠しながら挨拶を返す。

「暗くなるのが早くなってきたから、気を付けて帰ってね」
「うん。ありがとう」

 そんな些細なやりとりなのに、彼女と言葉を交わすたび心臓は大きく跳ねた。

 彼女への好意が込み上げるのと同時に、純白のウエディングドレスを着て幸せそうに笑う真帆ちゃんの姿が頭に浮かぶ。

 自分は彼女にふさわしくないとわかっているのに、顔を見るたびときめいてしまうなんて、我ながらあきらめが悪すぎる。

 そう思いながら、彼女の後ろ姿を眺めため息をついた。

 そんな毎日を送っていたある日の夕方。

 交番の前を通るはずの時間になっても、真帆ちゃんは現れなかった。

 街の様子に目を配りながら、さりげなく腕時計で時間を確認する。