照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 初めて入った彼女の部屋を思い出しながら言うと、涼成は「あー……」と苦い顔をする。

 シンプルなワンルームのアパート。足を踏み入れた俺は、がらんとした空間に驚いた。

 その部屋には、テレビもソファも本棚もカーペットもなかった。

 部屋の中心に置かれた折り畳みの小さなテーブル。壁際にはマットレスに足がついたシンプルなベッド。キッチンに備えつけられた棚に並んでいる食器は必要最低限で、すべて一組ずつだった。

 色もシンプルなベージュや白でまとめられた、飾り気も生活感もない寒々とした部屋。

 真帆ちゃんはあんなさみしい部屋で、ひとりきりで暮らしているのかと思うと、なぜか胸が苦しくなった。

 俺がうつむくと、家の奥から「こら、陽太。ちゃんと髪乾かしなさい!」という賑やかな声が聞こえてきた。

「やだぁ!」
「言うことを聞かなかったら、アイスなしだよ」
「えー! もっとやだぁ!」

 そんな微笑ましいやりとりに小さく笑い、そして次の瞬間には真帆ちゃんのことを考える。