照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 私が戸惑っていると、電話の向こうの涼成が『いちいち遠慮されるほうが面倒だろ。素直に甘えておけよ』とあきれたように言う。

 たしかにそれもそうかと納得し、海斗くんを見上げた。

「じゃあ……、お願いしてもいい?」

 海斗くんは「もちろん」とうなずく。

 いつも通りの真顔だけど、目もとが優しく緩んでいるのがわかった。

「送ってもらったのに、お茶も出せずにごめんね」
「俺こそ図々しく上がり込んでごめん」

 そんなやりとりをして、玄関で彼を見送った。

 閉まったドアの前で息を吐き出す。

 腕や肩のあたりに、海斗くんのたくましい体の感触が残っていた。その温かさを思い出すように、そっと自分の手のひらで触れてみる。

「……なんでこんなに心臓がうるさいんだろ」

 つぶやいたひとり言は、がらんとした部屋に吸い込まれていった。