照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 結婚生活を始めるために選んだ、お気に入りの食器。これからずっと使うからと、少し背伸びして買った質のいい家具やカーテン。彼からプレゼントされたバッグやアクセサリー。すべてあの部屋に置いたまま、逃げるように地元に帰ってきた。

「――真帆ちゃん」

 そっと名前を呼ばれ我に返る。

 顔を上げると、海斗くんが心配そうな表情で私を見ていた。

 無意識のうちに過去を思い出していた自分に気付き、慌てて笑顔を作る。

「ごめん、ぼんやりしてた。お茶淹れるね」

 キッチンに向かおうとすると、動揺のせいか足がもつれた。バランスを崩し、体が傾く。

「危ない!」

 海斗くんが手を伸ばし私を支えようとしたけれど、勢いは止まらなかった。ふたり一緒に倒れ込む。

 床にぶつかる直前、恐怖を感じぎゅっと目をつぶる。

 けれど、痛みも衝撃もなかった。

 おそるおそる目を開けると、すぐそばに海斗くんの顔があった。そして私の下には大きな体。