照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 遠慮がちに言う海斗くんに、「お茶でも入れるから、中に入って」と声をかける。

「え、でも」
「送ってもらったのに、玄関で立たせたままにするなんて失礼でしょ」

 そう言って、海斗くんを部屋の中に招き入れる。

 ワンルームに足を踏み入れた海斗くんは、部屋を見回し立ち尽くした。

「ここが、真帆ちゃんの部屋……?」

 驚く彼に、笑いながらうなずく。

「なにもない部屋でしょ」

 ソファもテレビもない、がらんとした空間。

 あるのは簡易的なベッドと、折り畳みの小さなテーブル。必要最低限の食器と洋服。飾り気のない、寒々とした部屋だった。

「離婚したときに、全部置いてきたんだ。一から新しいものを揃える気にもなれなくて、こんな素っ気ない部屋になっちゃった」

 明るく言ったつもりだったけど、自分の声がかすれていることに気付く。