照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

「ええと、中に入らないの?」
「うん。ここでいい」

 じゃあ、なんのために私の部屋に入りたいと言ったんだろう。

 私が不思議に思っていると、海斗くんは外の気配を探るように黙り込む。その表情は鋭かった。

 しばらくして、海斗くんが息を吐き出し口を開く。

「急にごめん。誰かにつけられているような気がしたから、一応警戒してたんだ」

 予想外の言葉に「嘘」と声がもれた。

「つけられてるって、いったい誰が……」
「俺の勘違いかもしれないし、あんなことがあったから過敏になってるだけかもしれない。でも念のため、アパートの前で別れるより、部屋の中に一緒に入るところを見せたほうが安全かなと思って」

 海斗くんの説明を聞き、一瞬でも彼に下心があるんじゃないか、なんて疑ってしまった自分が恥ずかしくなる。

「怖がらせるようなことを言ってごめん」
「ううん。そこまで考えてくれてありがとう」
「五分くらいしたら帰るから、少しだけ玄関で時間をつぶさせて」