その一方、海斗くんは真っ赤になって固まっていた。
「か、かわいいって……っ!」
普段は冷静で無表情の彼が、小さな陽太くん相手に動揺をあらわにして言葉を詰まらせる。
しどろもどろの海斗くんが微笑ましくて、思わず私も笑ってしまった。
リビングに柔らかな笑い声が広がる。
……そっか。別に嫌われていたわけじゃないんだ。
それがわかっただけで、胸の奥にあったもやもやがとけていく気がした。
「いただきます」と手を合わせ、それぞれに箸を持つ。
「小学校の頃、いつも姉ちゃんと海斗と三人で飯食ってたのを思い出すよな」
並んで座る私と海斗くんを眺めながら、涼成がそう言った。その言葉に、懐かしい記憶がよみがえる。
あの頃、毎日のように涼成と海斗くんに料理を作ってあげたっけ。
成長期のふたりの食べっぷりは見ているだけで気持ちがよくて、もっと美味しいものを作ってあげたいと思うようになった。
私が料理を好きになったのは、ふたりのお陰かもしれない。

