照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 ベテラン警察官が男性の背中に手を添え誘導する。

 男性は不満げな顔をしたけれど、警察官を前に逃げられないとあきらめたんだろう。肩を落として歩きだした。

 彼の後ろ姿を見て、ゆっくりと息を吐き出す。

 恐怖は去ったはずなのに、まだ手が震えたままだった。

「……大丈夫ですか」

 海斗くんに声をかけられ、慌ててうなずく。

「す、すみません。イベント中なのに、ご迷惑をおかけして」
「迷惑だなんて言わないでください」
「でも、思わせぶりな態度を取った私が悪いって……」
「思わせぶり?」

 さっきの男性の言葉が、元夫から投げかけられた言葉に重なり、声が震えた。

「私、家電屋さんであの店員さんに、ひとり暮らしにちょうどいい洗濯機を聞いたんです。配達できる地域か調べるために住んでる場所を教えてくださいって言われて、だいたいの住所も……。そういう個人情報を教えたらどういうことになるのか、ちゃんと考えられなかった私が悪いんです」

 途切れ途切れに話しながら、目もとが潤む。