照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 それまで笑っていた目もとが吊り上がる。彼の唇の端は、痙攣するように小さく引きつっていた。

「愛想のいい態度を取って、俺をその気にさせて、急に拒否って……なに? それで自分は被害者ヅラかよ」
「ちが……っ」
「ふざけんなよっ。お前が悪いんだろ!」

 感情的に怒鳴られ、体が震えた。

 元夫の声が頭の中によみがえる。



 ――お前が悪いんだろ。妻としての責任を果たせよ。ほんと使えねぇなぁ……!



 心臓が早鐘のように打ち、息がうまく吸えなくなった。頭の中が真っ白になり、どうしていいのかわからなくなる。

 その瞬間だった。

「今すぐ彼女から離れてください」

 鋭い声が割り込む。

 震えながら振り返ると、海斗くんがいた。男性のことを見据えながら、かばうように私の前に立つ。

 その背中はとても大きくて頼もしかった。

「な、なんだよ。お前、この前の警察か……?」
「男性に付きまとわれている女性がいると、連絡が入りました」