照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

「あのときの警察官ですよ。ただ話していただけなのに、因縁をつけやがって。警察手帳を出されたときに、ちゃんと名前を見とけばよかった。そうしたら、警察署に電話して名指しでクレームを入れてやれたのに」

 彼は舌打ち交じりにそう言う。
「そんな、クレームを入れるなんて……」

 そんなことをされたら、海斗くんに迷惑がかかってしまう。

 私の動揺を感じ取ったのか、男性がにこりと笑った。

「じゃあ、ちょっとふたりで話しましょうか」

 笑顔なのに目が笑っていなかった。

 断わったら逆上されるかもしれない。そんな不安が込み上げ、怖くて首を横に振れなかった。

 男性は賑わう会場から離れた人目につかない木陰まで歩き、ようやく立ち止まる。

 辺りに人影はなく、イベントの音楽とアナウンスの声が遠くで響いているだけだった。

「とりあえず、連絡先を交換しましょうよ」

 明るい口調でそう言って、男性がスマホを取り出す。

 私が一歩下がると、彼は顔を上げ目を細めた。