照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 記憶の中ではいつも俺が彼女を見上げていたのに、今では俺のほうがずっと大きくなっていて、初めて見下ろす彼女の肩はとても小さく華奢だった。

 かわいい。愛おしい。守りたい。そんな気持ちが込み上げ頬が熱くなる。

 あぁもう、忘れろ。警察官がこんなことでうろたえてどうする。

 慌てて頭を左右に振り、自分に活を入れた。



 

 千本の素振りを終え更衣室に戻ろうとしたタイミングで、「おーい、大崎」と声をかけられた。

 廊下の向こうからやってきたのは、地域課の課長だった。

「お疲れ様です」

 額の汗をぬぐい挨拶すると、「非番の日に訓練なんて、お前は相変わらず真面目だな」と笑われた。

「ちょっと頼みがあるんだが」
「なんでしょうか」

 話を聞くと、明日農協が主催する『ふれあい感謝祭』というイベントがあり、その中で『ちびっこ警察官体験コーナー』が行われるらしい。

 ミニ制服を着た子どもたちをパトカーに乗せて記念撮影をするという、毎年人気の催しだ。