照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 真帆ちゃんの姿をひと目見ただけで、甘酸っぱい憧れと初恋が鮮明によみがえり、心臓が大きく震えた。

 高校の制服を着ていた記憶の中の姿より、ずっと綺麗になり大人びた横顔。セミロングだった髪は少し短くなっていて、相変わらずサラサラで、思わず触れたいと思ってしまった。

 真帆ちゃん久しぶり。俺のこと覚えてる? この街に帰ってきたんだね。

 そんなふうに自然に話しかければいいとわかっているのに、俺の思考はフリーズしてしまう。ぎこちなく視線をそらし、立番を続けるだけで精いっぱいだった。

 そのくせさりげなく彼女の手もとに視線を向け、左手の薬指に指輪がないことだけはしっかりと確認してしまった。

 そんなあさましい自分の行動を思い出し、自己嫌悪を覚えながら交番の前に自転車を止める。

「戻りました」

 交番に帰ってきた俺に、巡査部長が「お疲れさん」と声をかけてくれた。

「大崎。書類作成が終わったら、先に夕食をとっていいぞ」
「いえ、自分はあとからでいいです」