照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 昔と変わらない真面目さや健気さを愛おしく感じ、別れ際に背中を向けた彼女に思わず『真帆ちゃん』と呼びかけてしまった。

 いきなり名前で呼ぶなんて、もし真帆ちゃんが俺が海斗だと気付いていなかったら、完全に不審者だろ……。

 激しい後悔に襲われつつ、しっかりとパトロールを終え交番に戻る。

 大通りから住宅街に続く道沿いに建つ四角く小さなコンクリート製の建物が、俺が勤務する交番だ。

 当直の日は朝一で地域を統括する北丘警察署へ出勤し、制服に着替え防刃ベストや拳銃などの装備品を着装する。

 その後、朝礼や引継ぎをすませ、担当する交番で翌日の朝まで勤務に就く。当直明けの日は非番といって体を休める休息日で、その翌日が公休。

 基本的に交番勤務の警察官は、当直、非番、公休を繰り返しながら仕事をしている。

 数日前。交番の前に立ち周囲の安全を見守る立番の最中に、この街に帰ってきた真帆ちゃんを見かけた。目が合った瞬間、俺はすぐに彼女に気付いた。