照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

『たしかに真帆ちゃんに憧れてたけど、何年前のことだと思ってるんだよ。子どもの頃の初恋なんてとっくに忘れて未練もない』

 俺が冷静な口調で言うと、涼成は『なんだぁ、つまんねぇの』と唇をとがらせた。

 真帆ちゃんに恋心を抱いていたのは、十六年も前の話だ。
 小学生だった俺は二十八歳になり、四十センチも背が伸び別人のように成長したし、真帆ちゃんだってあの頃の無邪気で優しい彼女ではなくなっているはずだ。

 いい大人になって、幻想のような初恋の思い出に心を乱されるわけがない。そう思っていたはずなのに……。


 



「真帆ちゃん、相変わらずかわいすぎだろ……っ」

 自転車のハンドルを握りながらそうつぶやく。

 男に絡まれ怖い思いをしたくせに、『パトロール中なのに寄り道して、怒られたりしませんか?』と俺の心配をしてくれる彼女の気遣いと優しさに、未練なんてないと言い切ったはずの恋心が激しくうずく。