照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 そんなときに同じクラスになったのが、明るく社交的な涼成。

 俺が父親とふたり家族だと知った涼成は、『うちは反対。父親がいねーの』とあっけらかんとした口調で言った。

『さみしくない?』

 俺の問いかけに、涼成は『ぜんぜん』と首を横に振る。

『うちの姉ちゃん、すげえ口うるさくてお節介なんだよ。勉強はしたのかとか、忘れ物はないかとか、毎日うざいくらい口出してきて、さみしいなんて思う暇ねぇ』

 顔をしかめる彼を見て、思わず『いいなぁ』とつぶやいていた。

 自分にもそんな姉がいたら、ひとりきりのさみしい時間を過ごさずにすむのに。

『ぜんぜんよくねぇよ。あれは姉っていうより鬼だな』

 その言葉に、優しい姉のイメージが怖い鬼に変わる。たしかに、家に鬼がいて毎日怒られるのは嫌かも。
 なんて思っていたけれど、実際の涼成のお姉さんは俺の想像とはまったくちがった。

 サラサラのセミロングの髪に、細い手足。高校のブレザーの制服は、とても大人びて見えた。

『いらっしゃい。涼成のお友達?』