照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。


 そんなやりとりをしながら、海斗くんは私が涼成の姉だって気付いていないんだな……と思う。
 子どもの頃、何度も海斗くんに夕食を作ってあげたのに。

 母と涼成に言われるまでまったく気付かなかった自分を棚に上げ、海斗くんの薄情者めと心の中で文句を言う。

 その大きな体の何割かは、私の手料理でできているんですよ。なんてちょっと意地悪を言いたい気分だ。

 まぁ、最後に海斗くんと会ったときの私は若さあふれる十八歳で、今は離婚という挫折を味わいやさぐれ気味の三十四歳だ。

 十六年経って私も変わっただろうから、気付かないのも無理はないか。

 そう自分を納得させつつも、少しだけさみしい気持ちになった。

 自転車を押しながら歩く彼の背中を見上げる。

 清潔感のあるブルーのシャツに、背中に白い文字で〝警察〟と書かれた頑丈そうな紺色のベスト。引き締まった腰には警棒や手錠、ケースに収められた拳銃があった。

 皮のベルトに付けられた装備品を見て、海斗くんは本当に警察官なんだな……と実感する。