照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 海斗くんは視線をゆっくりと男性に向けた。その静かな威圧感に、それまで横柄だった男性が息をのむのがわかった。

 海斗くんは胸もとから警察手帳を取り出し、開いてみせる。

「念のため、お話を聞かせてください」

 海斗くんが淡々とした口調で言うと、男性は気圧されたように一歩あとずさった。

「い、いいよ。俺はもう行くから……っ」

 そう言いながら踵を返し、その場を去っていった。男性の姿が見えなくなり、ほっと息を吐き出す。

「大丈夫ですか」

 海斗くんは静かに言い、私を見下ろした。

「だ、大丈夫です。ありがとうございます」

 平静を装いながら頭を下げたけれど、海斗くんは「ご自宅まで送ります」と言って、近くに止めてあったパトロール用の白い自転車を押し歩きだす。

「え、そんなわざわざ……」
「パトロールの一環ですから」

 海斗くんは淡々とした口調で言う。

 口数が少なく表情に乏しいけど、決して不愛想なわけではなく、警察官として私を気遣ってくれているのが伝わってきた。