照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 明るい声で言いながら、また一歩近づく。


 この人、なんだか怖い……。
 一見人当たりがいいのに、声色や表情に浮かぶ威圧感に、別れた夫の顔が重なって見えた。

 元夫は他人には親切で誠実なのに、妻である私のことは見下し、言葉と態度で支配しようとする人だった。

『お前は無能だから、俺がいないとなにもできないよな』

 元夫から繰り返し言われた言葉がその嘲笑とともによみがえり、呼吸が苦しくなる。

 ぎゅっと手のひらを握りしめたとき、「どうかしましたか?」と低い声が響いた。

 振り返ると、そこには制服姿の警察官が立っていた。

 背が高くたくましいおまわりさん。
 海斗くんだ……。そう気付いた私は驚きで目を見開く。

「な、なんだよ、いったい」

 突然現れた長身の警察官に、男性の表情には焦りが浮かんだ。

「おふたりは、お知り合いですか?」

 冷静な口調でたずねられ、私は動揺しながら首を横に振る。