照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 知り合いかなと思い足を止めた私に、三十代後半くらいの男性が笑顔で近づいてくる。

 短めの黒髪に、カジュアルな服装。どこにでもいる普通の会社員といった感じの人だった。人に話しかけ慣れているのか、社交的で少し馴れ馴れしい印象を覚える。

 どこかで見たような気がするけど……誰だっけ。
 そう思いながら「こんばんは」と挨拶を返す。

「あれから洗濯機買えました?」

 笑顔の男性がそう言った。

「洗濯機……」とつぶやいて、ようやくどこで会ったのかを思い出す。この人、家電量販店で話をした店員さんだ。

 どうして私の自宅のそばにいるんだろう。偶然……なのかな。

 少し困惑しながら「ええと……、先日はどうも」と軽く会釈をすると、彼は一歩距離を詰めてきた。

「この辺りに住んでいるって言っていたので、会えたらいいなと思って歩いてたんですよ」

 たしかに、配送できるか確認するために住んでる地域を知りたいと言われ、ざっくりとした住所を教えたけど……。

 ざわりとした違和感が胸をなでる。