照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 驚いて声のしたほうを振り返る。年配の女性が地面に尻もちをついているのが見えた。彼女の指さす先には、黒いキャップを被った男。女性物のバッグを抱えて走り去ろうとしていた。

 ひったくりだ……!

 私が状況を理解したときには、すでに海斗くんは走りだしていた。

 鋭い表情で前を見据え、胸についた無線機で状況を報告しながら一気に加速する。あっという間に男に追いつくと、その腕をつかみ地面に抑え込んだ。

「動くな!」

 低く力強い声が辺りに響く。すぐに交番からほかの警察官が駆けつけ、ひったくり犯を確保した。

 少し離れた場所からその様子を見つめていた私は、海斗くんの警察官としての顔を目の当たりにし、その男らしさに驚いた。張り詰めた緊迫感のせいか、心臓が大きく高鳴る。

 小さくて引っ込み思案だった海斗くんが、こんなふうに人を守れる頼もしい警察官になったなんて……。