照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

『真帆ちゃん、ぼく……』と海斗くんはなにか言いかけたのに、結局口を閉ざして黙り込んでしまった。

 わざわざ駅まで来てくれたのに無言でうつむく彼を見て、不思議に思ったのを覚えている。
 あのとき海斗くんは、私になにを言おうとしたんだろう。

「真帆さん。かっこよくなった昔の知り合いとの十数年ぶりの再会なんて、めちゃくちゃきゅんとするシチュエーションじゃない。ときめいたりしなかったの?」

 美雪ちゃんに言われ、「ありえないよ」と首を横に振った。

「海斗くんだってことすら気付いてなかったし、だいたい涼成の友達なんて私にとっては弟同然なんだから、ときめかないよ」
「えぇ、そうかなぁ」
「それに、私はもう恋愛するつもりはないから……」
「――姉ちゃん」

 涼成の声が低くなる。

 あ、また説教されるかも。そう察してちがう話題を口にする。

「そういえば、うちまだ洗濯機がなくて不便なんだよね」

 私の言葉を聞いて、「洗濯機くらいさっさと買えよ」と涼成があきれた声で言った。