照れ屋な大崎くんは私のことが好きすぎる。

 うなずいた私を見た母が、「海斗くん、かっこよくなってたでしょ」とうれしそうに笑った。

「海斗くん?」

 突然出てきた懐かしい名前に目を瞬かせる。

「あら、覚えてないの? 涼成の同級生の大崎海斗くん」
「いや、それはもちろん覚えてるけど……」

 大崎海斗くんは涼成のお友達だ。小学生の頃からよく我が家に遊びにきていた、小柄で整った顔をした男の子。

 少し人見知りで無口。初めて会ったときは、顔を真っ赤にして涼成の後ろに隠れていたっけ。

 我が家は母子家庭で父親がいなかったけど、海斗くんの家は母親のいない父子家庭。彼の父親は仕事で忙しく、海斗くんは毎日ひとりで留守番をしていたそうだ。

 当時高校生だった私は、仕事を頑張る母の代わりに家事全般を請け負っていた。
 海斗くんから『食事はいつもコンビニで買ってひとりで食べてる』と聞き、長女気質でお節介な私は彼を放っておけなくなった。

 海斗くんの父親に許可を取り、『うちで一緒にご飯を食べよう』と誘った。