「お祝いしたいんだけど。業務時間外に、食事でもどうですか?」

「今度は、お身内がいらっしゃらない店でお願いします」

ふっと聡が柔らかい笑みを浮かべる。
「中目黒に味も雰囲気もいいイタリアンがあるから、そこでどうかな。俺、誰に似たのか美味しいものには目がないんですよ」

きっと彼の母親に似たのだろう。人の心の声まで聴き取れるようにと、切なる願いをこめて名をつけた人に。
そしてその願いは叶っている。

いかがですか? と聡が問う目を向けてくる。

「喜んで」
迷わず答える。
これは流されての言葉じゃない。明日美が望んでいることだ。
あなたともっと話がしたい。

そして、storyを編んでゆきたい———



【完】