「どうしてなにも教えてくれなかったんですか?」
陽太さんと梢さんが辞して、二人になったとたん、むくれて問いつめる。

「教えるってなにを?」
聡がほおづえをついて、こちらを横目を流してくる。初めて見る彼のキザな仕草だった。

「CODAだというのは私的なことでしょうけど。インテグラルを改良しようとしてることとか…それに、あのカレー屋さんがお母様が働いているお店だったなんて」
自分は今恨めしげな目をしていることだろう。
「わたし、あの後一人で食べに行っちゃったのに…」

「それはそれは、ご贔屓にしていただいて」
聡は悪びれる様子もない。
深い意味はなかったんだ、と続けた。
「ゆっくり話を聞きたくて、それなら食事をしながらがいいなと思って美味しい店を選んだだけで。俺はシンプルにあの店のカレーが好きなんだ。母親がシェフの一人なのは誇らしいけど」

それにしたって、と明日美は言い募る。
「インテグラルの改良に取り組んでいることくらい、言ってくれても」