コピー用紙のストックの箱を陽太さんが持ち上げ、梢さんが手を添えて棚の置き場所をガイドする。
シュレッダー作業のときは、梢さんが廃棄用紙にクリップなどが混ざっていないかチェックしてから、陽太さんに渡している。

よく二人で連れ立って外にランチにも出かけている。
聞くと、前方は目が見える梢さんが注意をはらい、後ろからくる車などは聴覚が鋭い陽太さんが気づくのだという。
お店のメニューを梢さんが読み上げて、注文は陽太さんが店員に伝える。

白杖を手にする陽太さんと、補聴器を耳に付けている梢さん。
互いの目となり耳となって寄り添う二人の姿は、姉と弟のようでもあり、胸打たれるものがあるのだが。
それで美談として終わらせてはいけない。

シュレッダーをかけたり物品を補充したりという、子どもでもできるような仕事だけでは虚しいと、本人たちが訴えているのだから。

考えてみたところで、なけなしのコネを使って関連部署にお願いして回ったところで手詰りで。

どうすればいいんだろう…デスクで頬杖をついて、さまよう指がクリックしたのはなぜか会社のコーポレートサイトだ。