軽口に聞こえるけれど、多忙の中でも有斗が気を揉んでいたことを知っている。

それはきっと、ツジ本人も、結子も。


「入籍も引っ越しもバタバタだから、式は少し先にしようって話してて。また決まったらお知らせするね」

「あぁ。絶対出席するから」

「楽しみだね」


婚姻届にサインをするという最大のミッションをクリアした後は、もういつも通りのわたし達だ。


4人全員がそれなりに飲めるので、大人になってからの楽しみ方にお酒が加わった。

有斗が買ってくれていたワインを開け、フードデリバリーで好きなものを好きなだけ頼んで。

気がつけば夜が更けていて、2人は、先に結子が引っ越しを済ませている新居に帰っていった。




「2人と会うと、いつもあっという間に時間過ぎるね」

「だなぁ」


2人を見送った後、使ったグラスや食器を片付けながら会話を交わす。

有斗が洗い物を買って出てくれたので、わたしはテーブルを拭いてからお茶を淹れた。

先にソファで寛いでいると、捲っていた袖を下ろしながら有斗もやってくる。


「にしても、感慨深いよな。遂にあいつらも結婚かー」

「嬉しいよね。他の友達ももちろんだけど、あの2人は格別っていうか」

「出会いから知ってるわけだもんな」