続・幼なじみの不器用な愛し方

不思議と今日は悪阻が軽くて、作ったスープはするすると胃に収まっていった。


朝の澄んだ空気が広がるリビングには、大きな窓から惜しみなく朝日が差し込んでいる。

本当に何気ない、ありふれた朝だ。


「洗い物置いといていいよ、後でやっとくから」

「助かる、サンキュ」


先に食べ終えた有斗に声を掛けると、わたしを軽く拝んでからぱたぱたとリビングを出て行った。

わたしはその背中を横目に見ながら、パンの最後の一欠片を何とか口の中に押し込む。


「今日はもう帰るんだよな?」


身支度を整えてリビングに戻ってきた有斗が、時計をつけながらわたしに視線を投げた。

その本心に気付きつつ、うん、とひとつ頷いて、白湯の入ったマグカップに口をつける。そうやって唇を湿らせてみたけれど、喉はすぐに渇いた。


「だよな。じゃあ、昨日の話はまた改めて……」

「ね、有斗。別れよ、わたし達」


有斗の声を遮るようにして放った言葉は、この部屋の時間を止めるのに十分な威力を持っていた。


「…………は?」


感情の一切を削ぎ落とされたような低い声が、ぽつりと空虚な空間に落ちた。