続・幼なじみの不器用な愛し方

「7年付き合って、25歳になって、俺が今贈りたいのはあの時と同じ指輪じゃねーなって……今渡したいのは、もっと意味のある指輪だって思った」


わたしを力強く抱きしめる有斗の声が、微かに震えていた。

彼の広い背中に回したわたしの指先も、細かく震えている。


数日間1人で彷徨い歩いた真っ暗な迷路に、ようやく光が差し込んだ。

あの時聞いた、小さくも確かにここにいると叫んでいる心臓の音を、諦めなくてもいいのだと思うと心まで震えた。

母親になる決意が、今ようやく出来たような気がして。


会いたい。この手で抱きたい。

こんなにも大好きな人との間に出来た子を。

絶対に産みたいって、今この瞬間、はっきりと思った。


だから。


「不安にさせてごめん。不要な苦労ばっかかけて、本当にごめん。でも俺、もっと頑張るから。美月を不安にさせないように、誰にも、何にも文句なんか言わせねーくらい結果出してみせるから」


視界の端に、シーツの上に投げ出された台本が映る。

今、有斗が撮影に臨んでいる作品のタイトルが表紙に記されている。

映画化と共に発表されたコメントには、原作のファンだったので映像化に携われて嬉しいのだと、自分の全てを懸けてこの役に挑みたいのだと、そう書いていた。