続・幼なじみの不器用な愛し方

中身は記入済みの婚姻届で、証人欄の箇所だけが空いている。


「本当に俺達でいいのか?」

「2人しかいないよ」


この空欄をわたし達2人に埋めてほしいと連絡があったのは、1ヶ月ほど前のことだ。

結子がペンも一緒に出してくれたので、向かいのスツールに座る有斗にそっと促す。


「俺が先?」

「うん。だって怖いもん」

「俺だって怖いわ」

「わたしよりは場慣れしてるでしょ」

「緊張の種類が全然違うんだけどな」


そんなことを言いながら、有斗はさらっと空欄を埋めてみせた。

予備があるから失敗しても大丈夫だよ、と結子が言うのを遠くに聞きながら、なんとかわたしも書き上げる。


「ありがとう! 2人に書いてもらえてよかった」


書き上がった婚姻届を掲げて、嬉しそうに結子が顔を綻ばせた。

その様子を眺めて、綺麗になったなぁ、と思う。

もちろん昔から可愛かったけれど、そこに大人っぽさが加わって、ふわりとした女性らしさが増したように感じる。