有斗が、宝物を扱うような手つきでわたしの頭をそっと撫でる。
「わたし、ソファで寝ちゃってたよね。ベッドまで運んでくれたの?」
「あぁ。体痛めそうな寝方してたからな」
「えぇ、どんな寝方だろ。ありがとね」
衝突の後だけど、気まずさはなかった。
わたし達が過ごしてきた長い年月がそうさせているのだと、わたしも、きっと有斗もわかっていた。
頭を撫でていた指が、ベッドに横たわるわたしの手に重ねられる。
骨ばっていて、温かくて、誰よりも優しくわたしに触れる手。世界でいちばん、大好きな手。
際限なく溢れる愛しさを、どうすれば伝えきれるのかな。
「寝転がったままでいいから、聞いてほしいんだけど」
「……うん?」
「指輪のこと……代えがきくとは俺も思ってなかったよ。美月が大事にしてくれてるのもわかってたし、俺にとっても思い入れがあるものだったし」
「……うん」
寝転がったままでいいと言われたけれど、寝転がったまま聞きたくはなかった。
体を起こして、ヘッドボードと枕にもたれて座っていた有斗に向き直る。間接照明が、有斗の長いまつ毛の影を伸ばしていた。
「わたし、ソファで寝ちゃってたよね。ベッドまで運んでくれたの?」
「あぁ。体痛めそうな寝方してたからな」
「えぇ、どんな寝方だろ。ありがとね」
衝突の後だけど、気まずさはなかった。
わたし達が過ごしてきた長い年月がそうさせているのだと、わたしも、きっと有斗もわかっていた。
頭を撫でていた指が、ベッドに横たわるわたしの手に重ねられる。
骨ばっていて、温かくて、誰よりも優しくわたしに触れる手。世界でいちばん、大好きな手。
際限なく溢れる愛しさを、どうすれば伝えきれるのかな。
「寝転がったままでいいから、聞いてほしいんだけど」
「……うん?」
「指輪のこと……代えがきくとは俺も思ってなかったよ。美月が大事にしてくれてるのもわかってたし、俺にとっても思い入れがあるものだったし」
「……うん」
寝転がったままでいいと言われたけれど、寝転がったまま聞きたくはなかった。
体を起こして、ヘッドボードと枕にもたれて座っていた有斗に向き直る。間接照明が、有斗の長いまつ毛の影を伸ばしていた。



