続・幼なじみの不器用な愛し方

落ち着いて話せるかな。

有斗はどんな顔をするかな。

そっと目を閉じてみても、少し先の未来はちっとも想像出来ないや……。




薄く開いた瞼の隙間から、オレンジ色の淡い光が差し込んだ。

ぼんやりと霞む視界の向こうに、シルエットが浮かび上がる。


いつの間にか眠ってしまっていたわたしの隣に腰掛け、有斗は真剣な表情で手元に視線を落としていた。

視線の先にあるのはB5サイズの群青色の冊子で、ところどころ付箋が貼られている。


「……」


いつからか、有斗は本当に楽しそうに演技をするようになった。

台本をこれでもかというほど読み込み、1つひとつの役に丁寧に向き合い、理解を深め、その人物の人生を生きる。

色んな役を通じて、色んな価値観に触れられるようになった。色んな景色を見られるようになった。

それが本当に楽しいのだと、いつか有斗はわたしに語ってくれた。学生の頃を思い出させる、子どもみたいな無邪気な顔で。


「……美月?」


視線に気付いた有斗が、視線を台本からわたしに移す。

役に入り切ったような真剣な眼差しが、途端に穏やかなものになる。


「起きたのか」

「うん。おかえり、有斗」

「ただいま。遅くなってごめんな」