続・幼なじみの不器用な愛し方

「だったら……」

「だからこそ怖いの。わたしのためなら大事なものだって手放すことを厭わない、そんな人だから」


20代半ばで結婚する俳優さんなんて、たくさんは思い浮かばない。

例えば相手が梵ほのかだったとしたら、今結婚したとしても祝福ムードになるかもしれない。けど、わたしはただの一般人だ。

そんなことを考えては、自分が嫌になる。有斗のことは迷いなく信じられるのに、卑屈になってしまう自分がいる。


「すごいなぁ、アキは」

「……え?」


思いがけず称賛の言葉が飛んできて、足元に落としていた視線を上げた。

わたし達の周りを、てんとう虫が風に吹かれるように飛んでいく。


「こういう時ってさ、自分のことでいっぱいいっぱいになりそうなものじゃん。わたしだったら、相手の仕事とか気にせずすぐに言いそう。わたしが今一番大変なんですけど!?ってマインドで」

「わたしだって、別に……」

「学生の時からずっと付き合ってたらさ、少なからず慣れがあったっておかしくないじゃん。でもアキは、真っ先に相手のことを思いやれるんだよ。それってすごいよ」


すごいと思うよじゃなくて、すごいよ。力強い宮水の言葉が、心の中のコップに希望みたいなものを注いでくれる。