続・幼なじみの不器用な愛し方

「大丈夫なの?」

「……うん。最近、ずっと胃の調子悪くてさ。騙し騙しやってきたんだけど、どうにもだめみたい。観念して病院行くことにするよ」


鳩尾の辺りをさすりながらへらりと笑ってみせるけれど、きっと血の気が失せた今のわたしは、中々に酷い顔を浮かべているのだろう。

ちゃんと消毒して出たからね、と言い置いて休憩室に戻ろうとしたわたしを、宮水が引き止める。


「……あのさ、違ったらごめんなんだけど」


神妙な面持ちのまま、宮水が意を決したように息を吸い込んだ。


「もしかしてアキ、妊娠してない……?」


…………え?


何を──何を、言ってるの?


雷に打たれたような衝撃が、脳天を貫いた。

難しいことは何一つ言われていないはずなのに、理解が出来ない。

朝の柔らかな日差しが差し込む人気のない通路に、わたしの困惑が急速に広がっていく。


「違ったら、ほんとごめん。でも、ちょっと前から調子悪いって言ってたし……不調の感じが、わたしのお姉ちゃんの妊娠が発覚した時と似てる気がして……」


言いにくそうに、だけど、確実に可能性を提示する宮水。

はっきりと告げられているはずなのに、たった4文字のその言葉を、わたしの頭は少しも咀嚼してくれない。