続・幼なじみの不器用な愛し方

手を止めた大橋先生が丸椅子に座ったのを見て、その向かい側に腰掛けた。

やがて、隣接した給湯室から香ばしいコーヒーの香りが漂ってきて──


「……っ!?」


──瞬間、胃の中をぐるっと掻き回されたような気持ち悪さに襲われた。咄嗟に口を覆って席を立つ。

勢い余って椅子を倒してしまったのにも構わず、トイレへと駆け込んだ。


「……ごほっ」


何かの塊が胃の奥から逆流してくるような感覚はあったのに、出てくるのは胃液だけ。

当然だ。今日の朝、何も食べずに出てきてしまったのだから。


『あんまり長引くようだったら病院行きなね?』

宮水にそう言われていたのを思い出す。

新年度が始まってバタバタしていたり、体がだるかったりで後回しにしていたけれど、気が付けば不調を自覚してから既に2週間が経っていた。


「さすがに病院に行かなきゃ……」


吐こうとしても何も出てこないので、気持ち悪さは継続されたままだ。

よろよろと立ち上がり、何とかトイレを出る──と、扉の前に険しい表情の宮水が立っていた。わたしの姿を見て、更に眉間の皺が深くなる。