続・幼なじみの不器用な愛し方

捜索開始から15分ほどが経過した頃。ロッカーの隙間や棚の間を覗き込みながら、宮水がぽつりと呟いた。


「更衣室だと、ロッカーの隙間くらいしか見るところないよね。こっちは昨日も見たし、向こうに転がってることも考えて、休憩室のほう手分けして探したほうがいいかな」

「……」

「……アキ?」


しゃがみ込んだまま、宮水の声を背中で聞く。


「ちょっと……大丈夫?」


心配そうな声色で問われ、わたしはようやく顔を上げた。

口角を持ち上げて、わずかに顎を引く。


「ごめん、ぼうっとしてた。休憩室のほうが物も多いし、お願いしていい?」


息を大きく吸い込んでから、壁に手をついて何とか立ち上がる。と、宮水が眉根をきゅっと寄せた。


「ねぇ、顔色悪いよ」

「え……?」

「しんどそうじゃん。15分みっちり探したし、ちょっと休もう」


わたしの返答を待たずに、宮水は更衣室を出ていく。


「先生、ちょっと休憩しましょ。わたし、コーヒー淹れるんで」


有無を言わせない口調で捜索中止を告げ、宮水はコーヒーブレイクの準備に入る。

あらゆる隙間を探しても、見当たらなかった。

一体、どこに行っちゃったんだろう……。

重苦しい気持ちを抱えつつ、そろそろと更衣室を後にする。