続・幼なじみの不器用な愛し方

玄関でツジが渡してくれたのは近頃話題のパティスリーの紙袋で、中身はケーキらしい。

手土産なんていいのに、と恐縮したけれど、そうもいかないとツジは笑った。そのソツのなさ、出来る男オーラがすごいです。


突き当たり左手の扉を開け、有斗が2人をソファに案内するのを横目にわたしはキッチンに寄り道して、ありがたくケーキを冷蔵庫にしまう。

代わりに、有斗が用意してくれていたティーセットにお湯を注いで、人数分の紅茶をテーブルに運んだ。


「にしても、こうやって4人揃うのは久々だな。連絡はちょこちょことってたけど」

「わたしとみーちゃんは社会人になってからもよく会ってたけど、今年に入ってからは予定合わなくて会えてなかったしねぇ」

「なるほど、それが玄関先のタックルに繋がったわけだな」

「ゴメンってば〜! それにタックルじゃないからっ」


学生時代、ファーストフード店で交わしていたような会話が、都心にあるタワーマンションの高層階の一室で繰り広げられる。

あの頃から変わらない、気の置けない関係性が心地いい。