続・幼なじみの不器用な愛し方

唇の内側をぐっと噛む。

重たい瞼の奥がまた熱くなってきた──その時。


「おっはよーございまーす!」


重苦しくなりかけた空気を切り裂くようなハイテンションな声とともに、宮水が休憩室に入ってきた。


「……あら?」


ばーんと開け放った扉の前で、突然の登場に呆然とするわたし達を交互に見る宮水。


「えーっと? もしかして、お取り込み中でした?」

「取り込んでないよ。俺がノンデリ発言して、アキちゃんを困らせてただけ〜」


大橋先生がにこにこ笑いながら応えた。

風船のように掴みどころがないけれど、その分、どんな状況でも対処が出来る人だと思う。


「それより、2人とも来るの早くない? まだ7時半だよ?」


始業は8時30分からで、大橋先生の質問は尤もだった。

わたしは、もちろん指輪を探すために早く来たんだけど……宮水は?

ちらりと視線を投げると、宮水がニカッと笑う。


「アキの紛失物を探そうと思って早起き頑張りました」

「え……」

「明日探そうって、わたしが言ったからね」