続・幼なじみの不器用な愛し方

目元を枕にぎゅっと押し付けると、カバーがじわりとシミを作る。

有斗と付き合って初めて、涙に濡れた夜だった。




次の日、いつもより早めに出勤したわたしを、一番に出迎えたのは大橋先生だった。

着替えを済ませ、何やら読み込んでいた資料から顔を上げて目をぱちくりさせる。


「おはよう、アキちゃん。……夜更かしして、ワンちゃん出てくるような映画でも見た?」

「おはようございます。その発言で、先生のことノンデリ認定しますけど異論ないですよね?」

「嘘ウソ! ごめん!」


冷やしても温めてもどうにもならなかった腫れぼったい瞼の下から、じろりと大橋先生を睨みつける。

二重幅が行方不明で、今日は早々にアイメイクを諦めた。


「どうしたの? 大丈夫? ……って聞くのもノンデリ?」


休憩室を通り過ぎ、奥の更衣室に向かおうとした背中に声が掛かる。

扉に手をかけたところで、思わず動きを止めてしまった。


「……」

「アキちゃん?」