続・幼なじみの不器用な愛し方

7年。

有斗を心から愛しいと感じるときも、有斗がいなくて寂しいときも、いつだってあの指輪はわたしの薬指にあった。

値段は知らない。たとえどんなに安価な物だったとしても、あの時の有斗の精一杯が詰まったあの指輪には、それだけで価値があった。

有斗と歩んできた日々の中で、何にも代え難い付加価値がついていた。


少なくとも、わたしにとっては“そんなこと”と済ませられることじゃないんだよ。


「……新しい指輪なんていらない」


有斗の返事を待たずに電話を切った。

部屋に広がる怖いくらいの静寂を認めた瞬間、自己嫌悪がわたしを襲う。


「……っ」


あんなこと言いたいんじゃなかった。

指輪失くしちゃったの。ごめんなさい。でも、絶対見つけるから。

そう言って、素直に謝りたかった。

ただ、大切な指輪が手元にないことを一緒に悲しんでほしかっただけなのに……。


「もうやだ……」


感情が制御できない。苦しい。

息の仕方を忘れたみたいに、空気をうまく吸い込めないよ。