続・幼なじみの不器用な愛し方

約束の時間ぴったりに、有斗から電話がかかってきた。


「あ……ごめんね、急に」

『それはいいけど……寝てた? 声眠そう』


柔らかい声が電話口で響く。


「ちょっとうとうとしてた。だめだね、最近あったかいせいか、すぐ眠くなっちゃって」

『新年度だし、疲れもあるのかもな』

「そうかも」


横たわっていたベッドから起き上がりつつ、重たい瞼を右手で擦る。

そして、持ち上げた手を見てハッとした。指輪……ないんだった。


『で、どうしたんだ? 何かあったんだろ?』

「うん。有斗に謝らなきゃいけないことがあって……」


宝物を失くしてしまった。その事実だけで、声が震えた。


『え、どうしたんだよ、何があった?』

「実は……」


言葉を探す余裕もなく、指輪が失くなってしまったこと、必死に探したけど見つからなかったことを伝えた。

もらった時のことや、込められた想い。あの指輪と一緒に過ごしてきた歳月を思うと、ぽろぽろと涙が溢れて止まらなかった。


「明日もいっぱい探す。でも……今、手元になくて、有斗に申し訳なくて……」


すごく心細い。心許ない。

そんな感情を認めては、次から次へと涙が出てくる。

ずびっと鼻を啜ると、奥の方がツンとした。