どれだけ売れっ子になったって、有斗はわたしが好きな神崎有斗のままだ。




有斗と会った2日後の夜。眠ろうと目を瞑った時、伏せていたスマホが短く震えた。


[記事、ぜんぶガセ。信じるな]

[悪い。落ち着いたられんらくする]


……何、これ?

有斗から届いたメッセージは、情報の肝心なところを削ぎ落とされていてちっとも理解できなかった。


……記事って何……?

不穏なワードに、じわりと絵の具が滲むように不安が広がっていく。

SNSやインターネットで神崎有斗と検索してみても、それらしい記事は出てこない。


でも、何かしらの記事が出る。有斗にとっては不都合な嘘の記事が。

有斗はこれまで、週刊誌に撮られたことは一度もない。だから、こんな経験は初めてで。

布団の中でぎゅっと拳を握った。心臓が激しく暴れ出し、体温がぐんぐん上がっていくように感じる。

眠れない夜になるかと思いきや、案外すとんと眠りに落ちた。




メッセージの答え合わせは、翌日のお昼休みに出来てしまった。


「うっそ、結構ショックなんだけど」