続・幼なじみの不器用な愛し方

再び電話帳を開き、今度こそお母さんの番号に電話をかける。

耳にスマホを押し当てると、自分の心臓の音がとてもよく聞こえる気がした。

少しの間を置いて、発信音が鳴り始める。


非通知だから、出ないかもしれない。

仕事で電話に気付かないかもしれない。

繋がらなかったら仕方ない。また改めてかけよう。


そう思っていたわたしの耳に、


『……もしもし?』


探るような気配を見せながらも、応答する声が届いた。

瞬時に、懐かしさが腹の底から込み上げる。


あぁ──お母さんだ。


耳元のスピーカーに全神経が集中する。

河原に吹く風の音も、飛び石で遊ぶ子ども達の声も、何も聞こえない。


お母さん。

わたしをお腹の中で育て、この世に生み出してくれた人。


『……もしもし? どなたですか?』


訝しげな声が耳元で響く。

応えなきゃと思うのに、込み上げるものを抑えるのに必死で、何も言えない。

口元を押さえていると、


『もしかして……美月?』


懐かしい声が、ハッとしたようにわたしの名前を呼んだ。


『美月? 美月なの!?』


緊迫したような声で名前を呼ばれて、わたしはスマホを耳元から離した。