続・幼なじみの不器用な愛し方

でも、と石田さんの言葉は続く。


「最後の最後で踏みとどまった。学生時代を探した場所で、誰かの帰る場所を作るんが夢やったって……楽しそうに話すさくらのことを思い出して」


あぁ……そうか。守っているんだ。

さくらさんがいない苦しみに耐えながら、さくらさんが作り上げたこの場所を。

さくらさんのことを、二度も死なせてしまわないために。


並々ならぬ覚悟を決めたはずで、それでも2階に住んでいるのは、きっと、1人で暮らすには4階の住まいは広すぎるから。


「ちょうど盆やから、さくらの実家に顔出してきてん。未だに俺にもよくしてくれるけど……しんみりしてまうから、お邪魔するの気ぃ重くてさ。

で、自分への褒美にロールケーキ買ってきたってわけ」


発するべき言葉を見つけられないでいるうちに、石田さんの声色が僅かに切り替えられた。

視線を彼に向けると、フォークで切り分けたロールケーキを大きな口に放り込んでいる。


たぶん、彼が話してくれたのはほんの一部なんだろう。

そして、その一部を開示してくれたのはわたしのためだということくらい、わかってる。


「わたしは……今日、楽しかったんです。地元から友人が来てくれて、久しぶりに会えて。昨日から、ずっと、楽しかった」

「うん」


ワンピースのポケットに入れていた指輪を取り出して、テーブルの上に置く。

ちらりと石田さんの視線が向けられて、しかしすぐに流された。