続・幼なじみの不器用な愛し方

思慮深く、軽薄なことは言わない。

そんな人だとわかっているから、泣き顔を見せることに抵抗を抱かなかったのだと思う。




「帰りに、ロールケーキ買って来てん。めっちゃ疲れたから、でっかいフォークで掘って食べたろと思って。出せるもんあってよかったわ」


嘘か本当かわからないことを言いながら、切り分けたロールケーキとココアをわたしの前に出してくれる。

真偽はわからないけれど、紙皿に乗ったロールケーキはかなり分厚く切られていたので、1本買ってきたことは間違いなさそうだ。


「石田さんって、見かけによらず甘党ですよね」


鼻を啜りながら言うと、石田さんが小さく笑う。


「昔はそうでもなかったんやけどな。この仕事始めてからは……うん、せやな。甘党やな」


カーテンの下ろされたコワーキングスペースで、1つ隣の席の向かい側に座る石田さんがコーヒーを啜った。

彼の前にも、同様にロールケーキが置かれている。


「いつから、今のお仕事されてるんですか?」

「30手前やったかな。元々は普通に会社員してて、仕事の傍らで書いてた。

何とか継続して書かせてもらえるようになって、今後の筋道が見えた時に背中押してもらって、専業になったって感じ」

「へぇ……。じゃあ、石田さんにとって二足の草鞋は昔からだったんですね」