続・幼なじみの不器用な愛し方

「……っう」


溢れる感情が、喜怒哀楽のどれに当てはまるのか判断出来ない。

自分が今、泣きながらも笑っている理由を説明出来ないよ。


「有斗……っ」


久しぶりに呼んだ。今までは当たり前だった。

もう、呼ばないと決めたはずの名前。

宝物みたいな3文字を、口にしてしまえばもう止まらなかった。


忘れたい。忘れたくない。

忘れられない。覚えているのは苦しい。


戻れないし、戻るつもりはない。

でも、長いトンネルの中から抜け出せない。


どうすればいい?

どうすれば……。


──ピーンポーン……

堂々巡りに突入しかけた思考を断ち切るように、部屋の中にチャイムが鳴り響いた。

その音はオートロックのものではなく、玄関のインターホンが押された時のものだった。


「だれ……?」


机に手を突いて立ち上がり、覚束ない足取りで玄関に向かう。

意識が混濁して、足元がふわふわしている。

自分が顔をぐちゃぐちゃにして泣いているのを忘れてスコープを覗き込むと、


「石田……さ……?」


やはりいつもと雰囲気が違う石田さんが、扉の向こうに立っているのが見えた。