続・幼なじみの不器用な愛し方

他の住人さんかな……。

そう思って足を止めかけた時、その人が徐に振り向いた。

ばちっと視線が絡んで、わたしははっと息を飲んだ。


「なんや、秋山さんか。今帰り?」

「あ……はい。石田さんもですか?」


びっくりした。

すぐに反応出来なかったのは、石田さんの雰囲気がいつもと違ったからだ。

いつもはくしゃっと無造作な髪が今日は綺麗にセットされていて、服装だって白いカットソーにネイビーのスラックスと、いつもの無気力な姿からはかけ離れた格好をしている。


「うん。アホみたいに暑くて、めっちゃ疲れたわ」


オートロックの扉を開け、わたしを先に中に入れてくれる。

扉の向こうにはすぐ階段があるので、上りつつ言葉を投げる。


「じゃあ、今日はもうお家でゆっくりですか?」

「いや……まだ時間早いし、1回家戻って諸々回収して、下で仕事しよかなって」


色々資料広げてやりたくてさ、と背中に低い声がかかる。


2階が住まいのわたし達。

階段を上がった1番手前の部屋には、少し年上の女性が住んでいて、その次がわたし。

突き当たりが、大家である石田さんの部屋だ。